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「へっ、あの……え?」
両の手を掴まれたまま、ツナは混乱した。何がいったいどうなったのか。あまりのこの空間の様子の変貌ぶりに、彼女は目の前のことに直ぐ様対応が出来なかった。
ぱちぱちと瞬きを繰り返す。そしてはっと親友の表情を見やった。先程の涙声から予想出来たように、彼女の目尻にはうっすらと涙が滲んでいる。普段彼女は気の強い女の子だけれども、それに反して泣き虫な面も持っている。だから泣かれることに慣れているといえば慣れているのだが、しかしそれでも眼前で青い瞳に水膜を張る少女の姿に、ツナはオロオロと慌てた。ウィ、ウィンリィ?、と、か細い声を送ってしまう。
「………っ…ツナぁ。聞いてよ、あいつったらひどいのよ?」
ウィンリィはツナの両手を握ったまま口を開く。「あいつ」とはこれまでの会話から考えて彼女の幼なじみ兼彼氏でもある「エド」 エドワードで間違いはないのだろう。涙目で訴えてくるウィンリィにツナはうん、うん、と相槌を打ってみた。
ウィンリィはそれに乗せるように次々とエドワードに対する罵詈雑言を吐き出していく。ちっこいくせに等、あいつは昔から根性がひんまがってる等。よくもまあそんなに、と思うほどの文句があとからあとから彼女の口から突いて出てくる。だが、それは彼女が憤っている証拠でもあるのだろう。
勢い良くウィンリィの口からぽんぽん出されてたエドワードに対する暴言は、しかしそれでも徐々に鎮静化していく。それにともなって当の彼女も落ち着きを取り戻していったようだ。ツナはちらりとウィンリィを見やる。
「…………それで、あの。ほんといったい何があったのさ?」
たらりと冷や汗を頬に伝えながら尋ねる。先程からエドワードに対する文句は散々聞いたが、しかしその実、文句が発生したその核心部分には、未だ彼女は触れていなかったのだ。
「ウィンリィ?」
何も答えないウィンリィにツナはことりと首を傾げる。ウィンリィはううっと言葉に詰まったまま、目線を下にやった。視線をそのまま彷徨わせる。だが数秒経った頃、覚悟を決めたようにきっと顔を上げ、彼女はツナの手をよりぎゅっと握り締めた。
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